ぬるきゅー(ぬるめのセキュリティ日記)

気になったセキュリティ関連ニュースのぬるめのメモ

仏保険会社アクサが自国内のみランサムウェアの身代金損害補償を停止

フランスの保険会社アクサがフランス国内のサイバー保険について、ランサムウェアの身代金支払いへの補償をやめるとのこと。

apnews.com

ランサムウェアの身代金支払いへの補償が停止されるのは、フランス国内のサイバー保険の新規契約からで、他国の契約や既存の契約ではそのまま有効。また、ロシアなどの「safe haven」を拠点とする犯罪者によるランサムウェア攻撃の対応・復旧費用の補償も引き続き行うらしい。

背景にあるのは、保険会社が身代金を補償することそのものへの批判。犯罪者集団は狙った企業について、事前にサイバー保険の加入状況や、ときにはランサムウェアの身代金に対する補償額まで調べた上で攻撃し、保険の補償内容に合わせて要求額を決めることもあるという。

それがかえって被害企業が身代金を支払う傾向を後押しし、ビジネスとしてのランサムウェアを助長している面がある点が問題視されるようになっている。

また、ランサムウェアの世界的な被害拡大で、身代金支払いによる損害を補償するサイバー保険事業の収益そのものを悪化させる懸念も出て来ているとのこと。

正しいやり方は、資金に余裕のない中堅、中小企業が、十分なセキュリティ対策を行うための支援をすることや、暗号化通貨市場に対する規制を強化して、犯罪者集団のマネーロンダリングに悪用されないようにすることではないのか、という問題提起もされているらしい。

ということで、今回はフランスの保険会社アクサが自国内限定で補償を停止というニュースだけれど、この流れは他の欧米諸国にも広がるんだろうか。